立教の教員がかつて手掛けた戯曲で校友二人がダブル主演
大野 拓朗さん?南沢 奈央さん?松田 正隆教授
2025/10/09
立教卒業生のWork & Life
OVERVIEW
校友である俳優の大野拓朗さんと南沢奈央さんが主演を務めた舞台『海と日傘』が、2025年7月9日から21日まで、すみだパークシアター倉で上演されました。本作は、劇作家?演出家である現代心理学部映像身体学科 松田正隆教授の代表作で、1996年に第40回岸田國士戯曲賞を受賞しています。立教に縁の深い舞台にかける思いやお互いの印象について、演じたお二人に話を伺いました。
大野 拓朗(おおの たくろう)
2012年コミュニティ福祉学部スポーツウエルネス学科(当時)卒業。大学在学中の2010年に俳優デビュー。多数の映画?ドラマや舞台に出演し、2019年からは7カ月間のアメリカ留学を経験。2023~2024年には、ロンドンで全編英語のミュージカル『Pacific Overtures (太平洋序曲)』に参加。
南沢 奈央(みなみさわ なお)
2013年現代心理学部映像身体学科卒業?2006年?高校1年の時に連続ドラマでデビュー?テレビや舞台?ラジオなどで活躍する傍ら、読書?落語鑑賞という趣味を生かし、書評?エッセーの連載や落語番組の司会なども担当。
2023年には初のエッセー集『今日も寄席に行きたくなって』(新潮社)を出版。
舞台『海と日傘』
作:松田正隆 演出:桐山知也
プロデューサー:佐藤玲
長崎に住む一組の夫婦?作家の夫?佐伯洋次(大野拓朗)と?余命3カ月を宣告された妻?直子(南沢奈央)?
二人の間に静かに流れる時間、暮らし?身近な人々との他愛もない毎日の中で?夫婦は当たり前の日々を過ごしていく—。
(撮影:向後真孝)
——お二人は今回が初共演だそうですが、ダブル主演が決まった時の心境を教えてください。
大野:奈央さんは在学中からすでに活躍されていて、何度か学食でお見かけしたことはあります。「南沢奈央来てる!」と周りがざわざわしていたので(笑)。僕も大学2年の終わりにデビューし、いつか共演できたらと思っていたのですが、15年経ってようやく念願がかないました。松田先生を含めた全員が、新座キャンパスの学部なのも珍しいですよね。
大野:光栄ですし、僕も全く同じ印象でした。奈央さんに限らず、立教出身の方はどこか空気感が似ていて、通じ合うものがあるような気がします。

——演じる立場から見た、松田正隆教授の作品の魅力とは?
大野:この戯曲を30代前半で書かれたなんて、月並みな表現ですけど「天才なんだな」と。登場人物たちが話す言葉にそれぞれの人生がにじみ出ていて、「このセリフはどういう意味なんだろう?」と考えさせる余白もあるんですよ。
南沢:演者に委ねる感じがあって、読み解いていく作業も楽しいですよね。
大野:本当に。演じる人や解釈によって印象ががらりと変わる作品だからこそ、「自分たちの『海と日傘』をつくり上げたい」と思わされますね。
——立教大学での学びが、今に生きていることはありますか?
大野:いいなあ、そんな授業。受けてみたい!
南沢:楽しかったですよ。実は入学当初、お仕事を続けることに迷いがあったんですけど、「やっぱりお芝居がやりたい」と思えたのは、ひとえに立教での学びのおかげです。
大野:僕はスポーツウエルネス学科でしたが、スポーツ心理学を学んだのは特に有意義でしたね。「本番で力を発揮するために、いかにメンタルをコントロールするか」が大事なのは、スポーツ選手も俳優も同じなので。あとは、体の仕組みや栄養に関する知識も、役に向けた体づくりやアクションに役立っています。
——校友の皆さんへのメッセージをお願いします。
大野:これまで多くの校友の方々にお会いしましたが、親身になって応援してくださる方ばかりで。そんな皆さんに「あの人も立教なんだよ」と誇りに思ってもらえるよう、今後も挑戦を続けていきたいです。
——原作者のコメント

松田 正隆教授
30年ほど前に書いた戯曲が、今回、新たな演出で上演されるのはとてもうれしいことでした。先日、私も観劇しましたが極めてシンプルな舞台で、俳優の方々の抑制された演技に息をのみました。とりわけ本学の卒業生である主演のお二人、大野拓朗さんと南沢奈央さんの存在が、この劇を静謐な会話劇にしていると感じました。
※記事の内容は取材時点のものであり、最新の情報とは異なる場合があります。
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